紙パ技協誌
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総説・資料
安全性の高い紙製食品包装材用添加剤
ハリマ化成株式会社 研究開発カンパニー 研究開発センター 製紙用薬品開発室
福田 研一稲岡 和茂
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2020 年 74 巻 10 号 p. 988-994

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抄録

紀元前2世紀頃,文字を書き,記録するために発明された紙は長い年月を経て多種多様な用途で使用されるようになっている。今日では印刷・情報用紙以外に包装用紙,衛生用紙,段ボールや紙容器などにも用いられている。この紙は木材を加工して得たパルプが主原料であり,原料である木材は植林により20~30年のサイクルで再生可能(リニューアブル)な資源である。この優れた素材である紙に,用途に応じた強度や耐水性といった機能を付与している薬品が製紙用薬品である。中でも石油化学製品であるポリアクリルアミド(PAM)系乾燥紙力増強剤や,松脂を原料とする天然樹脂“ロジン”を用いたロジン系サイズ剤は,抄紙工程における主要な製紙用薬品となっている。

現在,紙素材は,お菓子の箱や紙皿,牛乳パックやアイスクリームカップ等の食品包装材としても広く使用されている。欧米をはじめとする各国では,食品と接触する紙や板紙に使用される物質は法規制の下に管理されており,これら食品包装材向けに使用される製紙用薬品には「間接食品添加物」としての認可が必要となっている。

このような中で,ハリマ化成グループを構成するハリマ化成株式会社およびプラズミン・テクノロジー社は,「間接食品添加物」として米国食品医薬局(FDA,Food and Drug Administration)の認可を取得した『安全性の高い紙製食品包装材用添加剤』を開発し,販売している。本稿では,FDAを始めとする各国の法律に準拠し,「間接食品添加物」として使用することができる①PAM系乾燥紙力増強剤,②ロジン系サイズ剤,およびPAM系乾燥紙力増強剤の合成技術を応用してFDAの認可を新規取得した③ピッチコントロール剤を紹介する。

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© 2020 紙パルプ技術協会
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