紙パ技協誌
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細胞壁構成成分のケミカルマッピング
青木 弾松下 泰幸福島 和彦
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論文ID: 1506

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抄録

飛行時間型二次イオン質量分析(TOF-SIMS)は高い平面分解能と表面感度を有するイメージング質量分析の一種である。本稿では植物試料を対象とした細胞壁構成成分のケミカルマッピングについて、TOF-SIMS を用いた研究例を紹介する。高分子成分は通常フラグメントイオンとして検出されるため、まず細胞壁構成成分のフラグメント化挙動について述べる。 特に複数の構造単位および結合様式を有するリグニンについて、これまでに得られた成果をまとめる。
TOF-SIMS を用いた分析例として、植物中の特定組織・細胞におけるリグニンの相対量および化学構造解析について紹介する。心材成分の分布状況を分析することで、古材の辺材心材境界を決定し、伐採年を推定した例についても述べる。さらに最新の研究例として、凍結試料を用いたcryo-TOF-SIMS 分析について紹介する。これまで水溶性成分の分布をそのまま可視化することは困難であったが、凍結試料をcryo-TOF-SIMS 分析に供することで、水溶性リグニン前駆体の細胞分布が明らかになりつつある。パルプ・製紙化学分野におけるTOF-SIMS 分析例についても紹介する。

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