紙パ技協誌
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バニリールスルホン酸バリウムを塩素水で処理した時の活性基の変化および生成物
パルプ漂白機構の研究, 第9報
佐藤 孝一郎小林 晃夫三川 礼
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1963 年 17 巻 7 号 p. 431-439

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抄録

パルプ漂白に際してのリグニンの挙動を類推するため, バニリールスルホン酸バリウムを, その重量の100%, 130%の塩素を含む塩素水で処理し, 全反応液中に生成したカルボニール基 (オルトキノン構造を含む) および弱酸性基を求め, 同時に塩素化生成物の検索も試みた。その結果, 消費塩素/メトキシ基 (モル比) 3~5の間においてカルボニール基またはオルトキノン構造はメトキシ基当り0.5個生成し, また消費塩素/メトキシ基 (モル比) 5付近では弱酸性基量はメトキシ基当り1.4個で, その中少なくとも0.4個は新に生じた酸性基である。また生成物として2・5および5・6ジクロルプロトカテキューアルデヒドが確認された。このことから (1) スルホン基の取れた後にはカルボニール基が生成し (2) 脱メチルした後は一部ブレンツカテキン核に成り (3) 塩素は2・5位および5・6位に入ることが明らかになった (4) 本実験を行なうに当り新物質として5・6ジクロルベラトルムアルデヒドを合成し, 新物質として2・5および5・6ジクロルプロトカテキュアルデヒドをそれぞれ確認した。

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