紙パ技協誌
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産業廃棄物行政の動向
由田 秀人
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1996 年 50 巻 11 号 p. 1509-1523

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抄録

廃棄物処理に関するわが国の法律の歴史は, 古くは明治に発足した「汚物清掃法」から始まり, 戦後の昭和29年に改正された「清掃法」により処理基準が規定された、その後, 昭和45年に改定された「廃棄物処理法及び清掃に関する法律」により, 19種類の産業廃棄物が指定され, 事業者自らが処理責任を負うことになった。また, 一般廃棄物の収集と処分も全ての市町村の責任が明確にされた。しかし, 国民経済の発展にともない, 廃棄物量は増加の一途を辿り, 廃棄物減少の必要性が重要な課題になって, 平成5年には「再生資源の利用の促進に関する法律」, いわゆるリサイクル法が制定された。他方, 産業廃棄物処分場をめぐる不法投棄などの社会問題が全国的に多発し, 昭和47年に制定された「廃棄物処理設備整備緊急処置法」はその後平成3年度まで数回の改定が行われてきたにも関わらず, 現在, 産業廃棄物処分場は住民の不信により殆ど設置することが困難な状況にある。
厚生省では, 今日の行き詰まったゴミ処理問題をいかに解決するか, 産業廃棄物専門委員会を置いて検討結果を取りまとめつつある。主な検討内容は, 処理設備の信頼性・安全性を向上し設備確保を図る方策, 不法投棄対策及びそれにともなう原状回復のための方策などである。

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