紙パ技協誌
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セメント産業の環境産業への変貌
ManufacturingからEcofacturingへ
谷口 正次
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2001 年 55 巻 4 号 p. 484-493,023

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抄録

日本における資源のインプット量は毎年20億トンに達する。そして生産物の製造過程で4億トンの産業廃棄物が, さらにそれらの生産物の消費過程で一般廃棄物が8千万トン, 合計4億8千万トンの廃棄物が発生している。そのうち8千万トンが最終処分場で埋め立て処理されている。しかし, この最終処分場の余命が, 産業廃棄物であと1.6年, 一般廃棄物で8年と言われている。そのため, 不法投棄が絶えず社会問題となっている。
このような状況の中で, セメント産業は, 年間2千5百万トンの廃棄物を代替原燃料として資源化しており, このうち1千万トン近くを当社グループで受け入れている。その結果, 最終処分場の延命に大きく貢献し, 今や日本のセメント産業は, 資源循環型社会になくてはならない存在となっている。
当社で受け入れている代替原燃料としての廃棄物の排出者は, 28業種500社に及び, その結果, 燃料消費量原単位は世界で最も低くなっている。また, バージン原料使用量の20%, 化石燃料使用量の9%を廃棄物で代替することにより, CO2の排出量をバージン原燃料を使用した場合に比べて14%削減している。さらに, セメント工場で受け入れなければ最終処分場に埋め立て処理しなければならなかったわけで, その延命効果は, セメント製造1トンにつき廃棄物188kg分に相当する。当社は, 今や製造業というより, 環境マネージメントサービス業ともいえよう。
これすなわちManufacturingからEcofacturingへの変貌である。

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