紙パ技協誌
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漂白クラフトパルプ及び古紙パルプのオゾン処理
山本 諭古賀 千鶴細村 弘義岡山 隆之
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2001 年 55 巻 4 号 p. 506-513,024

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抄録

近年, クラフトパルプ漂白工程から排出される有機塩素化合物の環境への影響が指摘され, 塩素系漂白剤の使用を抑制する傾向にある。しかし, これらの有機塩素化合物は, 漂白パルプ並びに紙製品中に残存することが確認されており, 紙製品が紙ごみとして焼却処分されることを考えると, 低減の必要がある。本研究では, 市販の塩素漂白パルプ並びにカラーコピーされた上質系古紙パルプをオゾン処理し, 塩素化合物量の指標として全ハロゲン (TX) 及びエタノール抽出有機ハロゲン (EOX) を, また, パルプ及びシートの性質としてISO白色度, 銅エチレンジアミン法による極限粘度数, 保水度, 引張強さなどを測定した。
オゾン処理はオゾンをパルプスラリーと接触させることにより行い, 処理温度10℃, 処理時間を5, 10, 20分とし, 処理時のパルプ濃度は4%, 30%とした。塩素漂白パルプ中のTX及びEOXの量はECF漂白パルプに比べて大きかったが, オゾン処理を施すことによってその量を低減できた。上質系古紙パルプにおいても, 通常の脱インキパルプに比べ, オゾン処理を施したパルプの方がTX.EOXともに低い値を得た。オゾン処理によって, 広葉樹漂白パルプの白色度は大きく向上したが, 白色度90%以上のパルプの場合には低下する傾向を示した。また, パルプの極限粘度数はオゾン処理によって大幅に低下したが, 手すきシートの強度特性に及ぼす影響は小さかった。

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