2001 年 55 巻 4 号 p. 522-527,025
中国のプランテーションで栽培する早成樹であるAcacia auriculiformisを従来法によるクラフトパルプ化に供したところ, 初期脱リグニンからバルク脱リグニンへの移行は, 脱リグニンが22%進行した段階で, 温度は130℃から140℃のところで観測された。カッパー価が18以下になると, 収率とパルプ粘度の低下が著しくなった。これらの観測結果に基づいて, より脱リグニンをすすめたパルプを得るために, 2つの改良クラフトパルプ化法 (硫化ソーダ水溶液, あるいは, 高硫化度白液を用いたチップの前処理) を試みた。これらの2種類の前処理の後にクラフトパルプ化を行うことによってがッパー価を3から4下げることができたが, 粘度低下を最小限に抑える限り, これ以上のカッパー価減少は達成できなかった。従来法によってカッパー価18のパルプを良好なパルプ収率とパルプ粘度を保ったままで容易に得ることができるのであるから, 改良クラフトパルプ化法をこの樹種に適用することは意味がない, と判断された。