紙パ技協誌
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インクジェット用紙向け炭酸カルシウム/シリカ複合材「FMT-IJ」について
内山 浩隆
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2002 年 56 巻 6 号 p. 834-837,025

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抄録
インクジェットプリンタは手軽に再現性の良いフルカラー印刷ができるので, 広く使われている。インターネット, デジタルカメラなどの普及により, インクジェットプリンタの需要はますます強くなってきている。きれいなフルカラー印刷を得るためには専用紙が必要である。インクジェット専用紙の塗工層にはシリカが広く使われている。シリカは白色度が高く, インク吸収性, 発色性に優れている。一方でシリカスラリーは高濃度化が難しく, 作業性も良くない。また, 高価な原材料と言える。
このような問題を解決するために私達は湿式粉砕炭酸カルシウムの改良を行なった。湿式粉砕重質炭酸カルシウム (WGCC) はスラリー時に高濃度での流動性が高く, また自色度, 風合い, コストパフォーマンスに優れているからである。炭酸カルシウムの粒子径を最適化し, 特殊カチオンポリマーで表面修飾することにより, WGCCのインクジェット適性を上げることができた。この新開発WGCCとシリカを複合させ, シリカと炭酸カルシウムの長所を併せ持つFMT-IJグレードを作ることができた。また, FMT-IJは高い表面強度を持たせやすいため, シリカと比べてバインダーを低減することができる。
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