2003 年 57 巻 8 号 p. 1212-1221,034
非木材パルプ (バガスパルプ・ケナフパルプ) 及び古紙パルプ (DIP) を配合した上質紙におけるLCI (Life Cycle Inventory) 分析結果を基にして, 8種類のインパクト手法 (EPS1992, EPS2000, Eco-Point1993, Eco-Point1997, Eco-Indicator95, Ecor-Indicator99, パネル法, Distance to Target法) によるライフサイクル影響評価を検討した。その結果, バイオマス起源のCO2排出による影響を考慮した各種インパクト手法による上質紙の環境影響評価では, 全ての手法においてDIP< 木材パルプ<バガスパルブ< ケナフバルブの順で環境影響が大きくなる傾向が認められた。また, バイオマス起源のCO2排出による影響を除外して比較した場合は, Ecor-Indicator99以外の7種類の手法においてDIPより木材パルプの環境影響が小さいとの結果が得られたが, その差は極めて小さかった。さらに, 8種類のインパクト手法による各種上質紙の環境影響を相対的に分析した結果, インパクト手法間の差は比較的小さく, Eco-Indicator99以外の7種類のインパクト手法で, ケナフパルプ/DIP比が1.8以下であった。各種インパクト手法内での各環境影響因子の比率を分析した結果では, CO2排出による環境影響が極めて大きく, 特にEco-Point1993とEco-Indicator99以外の6種類のインパクト手法で全環境影響因子内の約70%を占めていることが確認された。