2008 年 27 巻 4 号 p. 139-147
1998年にヒト胚性幹(ES)細胞が樹立され、発生過程におけるメカニズムの解明や再生医療応用などの目的で、国際的にはさかんに研究が進められている。一方、日本においては種々の問題から、多くの研究者がヒト ES 細胞を使用して研究を進められているという現状ではない。2007年にヒト人工多能性幹(iPS)細胞が開発され、日本においてもにわかにヒト幹細胞の培養に携わる研究者が増加してきた。ヒト iPS 細胞は、ヒト ES 細胞様の形質を有しており、ES 細胞用のプロトコールのほとんどを iPS 細胞に応用することが可能である。この総説では、ヒト ES についての基本的な培養について紹介する。