抄録
細胞移植による難治疾患治療は、患者にとって実現が切望されるものである。特に、パーキンソン病は、その病因から、完治には細胞移植以外は困難といわれている。そのような背景から、組織または細胞移植によるパーキンソン病の治療に関する研究が盛んに行われてきた。その結果、細胞を移植するだけでは、生着率が極めて低いことと、たとえ生着しても挫滅した組織は移植細胞を制御できるだけの能力を有していないという問題から、病態の劇的な改善には至らないことがわかってきた。そこで我々は、「生存率向上」と「in situでの細胞精密制御」の両方を達成できる生理活性バイオマテリアルの創製を着想した。開発した材料は、生存率向上およびin situでの細胞精密制御の両方を達成できる機能を有するコラーゲンハイドロゲルである。本稿では、各機能について解説し、本ハイドロゲルを用いた細胞移植によるパーキンソン病の治療への可能性について述べる。