抄録
研究試料として用いられる人由来物質は、細胞培養技術による利用可能期間の長期化、バンク構築による分譲の広範化、遺伝子解析による得られる情報の高度化などにより、その意味合いが大幅に変わるとともに、それをめぐる問題も大きくなっている。このため、近年、人由来物質の取り扱いをめぐるいくつかの提案がなされている(今春だけでも、われわれの厚生労働科研費研究班の報告書のほか、東海林邦彦氏らによる研究班「人倫研プロジェクト」の報告書、主にヒト胚が対象ではあるが町野朔氏らによる研究班の報告書などが相次いで出されている)。本稿では、その中から、光石忠敬・〓島次郎・栗原千恵子氏による「研究対象者保護法要綱試案」(臨床評価30巻2・3号269ページ、以下MNK案と略す)および松村外志張氏による「患者本人の治療以外の目的での人体ならびにその部分を対象とする取り扱いの在り方について」(本誌91ページ)とを簡単に対照させ、その後で、松村氏の案に対し、(1)自主ルールに関して、および(2)共同意志決定に関して、やや詳細にコメントを付していく。