専門日本語教育研究
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ベトナム人工学系教師主導による工学系日本語教育への取り組み
リー飯塚 尚子
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2009 年 11 巻 p. 51-56

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抄録

本稿は、長岡技術科学大学とハノイ工科大学が共同で実施しているツイニング・プログラム(以下ハノイTP)において行われた工学系日本語教育への取り組みに関する実践報告である。ハノイTPでは、日本語教育未経験者のベトナム語母語話者工学系教師(以下VT)が授業を担当し、日本語母語話者日本語教師(以下JT)が支援する試みを実施してきた。全課終了後に学生、教師双方へのアンケートおよび聞き取り調査を行った結果、次のことが明らかになった。1)課の難易度と内容への興味は別問題、2)VTによる図や写真などの多用が理解促進につながった、3)VTが補助的に使用したベトナム語が学習効果を高めた、4)日本語習得の他、技術習得、科学技術の知識・情報の獲得に役立った。以上のことから、専門に関する知的好奇心を満たし、かつ知識を増やすことも工学系日本語教育の重要な役割であることが示唆された。また、工学系かつ学生と同じ母語話者の教師が中心的役割を、そして、多数派を占める非工学系JTが補佐的役割を担うという新たな連携による工学系日本語教育のあり方を考える第一歩となった。

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© 2009 専門日本語教育学会
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