抄録
工学系の留学生や外国人研究員の研究生活を日本語学習の側面から支えることを目指し、本研究グループは「工学系話し言葉コーパス」を構築し、ゼミ内発話の分析を行っている。本稿では、工学系4分野を対象に和語動詞の使用実態について調査した。その結果、各分野に共通して使用されている和語動詞で頻度数が20以上のものは22語あり、全て旧日本語能力試験3、4級の語彙であった。ゼミ内で使用される和語動詞は専門に特化した場面であっても、「なる」「見る」「考える」といった初級の語彙が中心であることが分かった。また、共通和語動詞と共起する名詞は、2級以上の語彙が多く、動詞とは対照的に各専門に特化した漢語・外来語の使用が多く見られた。これらの中で一分野に限定的に使用された名詞と共通和語動詞との共起パターンを見た結果、多くが初級相当の文型であることが分かった。