専門日本語教育研究
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マンガ専門科目における留学生の日本語理解度調査
宿利 由希子住田 哲郎小柴 裕子
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2020 年 22 巻 p. 33-40

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抄録
本研究は、京都精華大学で特に留学生の多いマンガ学部の専門科目において、扱われる語彙・表現のうち留学生が理解しにくいのはどのようなものか、また留学生の母語によって理解度に違いがあるのか、という2点を明らかにするため、マンガ学部の留学生45名および日本語母語話者学生5名の計50名を対象に語彙・表現の理解度調査を行った。調査は、マンガ学部の専門科目の講義部分を計245分収録し、収録データから選出した、日本語授業で扱っておらず、かつ留学生にとって理解困難と考えられる語彙・表現を用いて、質問紙の形で行った。調査の結果、留学生の理解度は日本語母語話者学生の理解度より有意に低く、特に「蚊帳の外」などの慣用表現と「ドハマリする」などの俗語の留学生の理解度が低いことが明らかになった。従来の日本語教育では、カタカナ語やオノマトペ、慣用表現が、日本語母語話者間で一般的に用いられているのに対し、日本語学習者にとっては習得が困難であることが指摘されてきたが、本調査の結果から、俗語も同様の状況にあることが示された。また、留学生の母語別に調査結果を分析したところ、中国語母語話者の理解度は韓国語母語話者の理解度より有意に低く、特に「シンドローム」や「ノウハウ」といったカタカナ語の理解度に大きな差があることがわかった。
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