専門日本語教育研究
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留学生のための基礎的専門語の5分野比較
経済・数学・物理・化学・生物を対象に
小宮 千鶴子
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2022 年 24 巻 p. 43-50

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抄録
日本の大学学部で学ぶ留学生は、入学までに専攻に関する高校卒業程度の専門語の習得が期待されているが、その実現は困難である。その改善の第一歩として、複数の専門分野の学習語彙が選定されているが、分野間の相対的な難易度は不明である。本研究は、経済・数学・物理・化学・生物の専門語の学習語彙を資料に、分野間の相対的な難易度を調査するため、専門語数、旧日本語能力試験1級語彙の割合、中学用語の割合、語種、漢語の字数を比較した。その結果、5分野の学習語彙には、専門語数では最少と最多の分野間に約2.8倍の開きがあり、同様に、1級語彙の割合には約3.8倍の開き、中学用語の割合には約3.9倍の開き、外来語の割合には約7.6倍の開き、漢語の割合には約31ポイントの差がそれぞれあった。それらの結果から、5分野の専門語の学習語彙は、<経済・物理・数学><化学・生物>の2つに大別され、その順に相対的な難易度が上がることが明らかになった。
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