Journal of Traditional Medicines
Online ISSN : 1881-3747
Print ISSN : 1880-1447
ISSN-L : 1880-1447
Review
Kampo formulations and allergic inflammatory diseases
- Efficacy for murine IgE-mediated triphasic cutaneous reaction -
Ikuo SAIKI
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 21 巻 2 号 p. 51-66

詳細
抄録
抗 DNP IgE 抗体で受動感作したマウスの耳介に dinitrofluorobenzene (DNFB) を塗布することにより, 1 時間, 24時間および 8 日目をピークとする即時相 (immediate phase response, IPR), 遅発相 (late phase response, LPR) および超遅発相 (very late phase response, vLPR) の三相性皮膚反応が誘導されることを見い出した。 IPR は肥満細胞が欠損したマウスでは認められず, LPR は明らかに観察され, vLPR は部分的に低下した。 LPR はT細胞に非依存的な反応相であるが, 一方, vLPR は T 細胞欠損マウスではほぼ完全に消失した。 このように, 第三相目の皮膚反応 (vLPR) は多数の好酸球の浸潤を伴い, 主にT細胞と部分的に肥満細胞が関与した重要な炎症性反応であることを明らかにした。 このモデルを用いて検討した結果, いくつかの漢方方剤および合成抗アレルギー薬がこの IgE 介在性三相性皮膚反応を抑制することを見い出した。 三相性皮膚反応に対する漢方方剤の抑制効果は, IPR, LPR, vLPR に対する効果に基づき, いくつかの群に分類された。 たとえば, 桃核承気湯, 治頭瘡一方, 小青竜湯および小柴胡湯のような方剤からなる群は, 陽性対照として用いたステロイド剤 prednisolone と同様に, 有意に三相性皮膚反応を抑制した (すなわち, +/+/+群)。 抗不安作用を有する抑肝散を通常の群居飼育したマウスに経口投与した結果, 三相性皮膚反応にほとんど効果を示さなかったが, 隔離飼育によるストレス負荷マウスの増悪した三相性皮膚反応に対して, 用量依存的な抑制効果を示した。 一方, 隔離飼育したマウスに benzodiazepine 受容体アゴニストである diazepam を腹腔内投与した結果, 増悪した IPR, LPRは抑制されたが, vLPR に対する効果は隔離あるいは群居飼育にかかわらず, 抑肝散の効果と明らかに異なり, さらなる増悪化が認められた。
本総説では, 漢方方剤の抗アレルギー作用に焦点をあて, 通常の群居飼育あるいは隔離飼育マウスを用いて, いくつかの漢方方剤の IgE 介在性三相性皮膚反応に及ぼす効果を記述する。 さらに, 抑制機序や漢方方剤やその構成生薬の効果発現における重要性について述べる。
著者関連情報
© 2004 Medical and Pharmaceutical Society for WAKAN-YAKU
次の記事
feedback
Top