Journal of Traditional Medicines
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Suppression of motility of human breast cancer cells by human serum after intake of maoto
Hidenori ITOSumiko HYUGAMasashi HYUGAKoji WATANABETokutaro TSUDATetsuro OIKAWAToshihiko HANAWA
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2009 年 26 巻 2 号 p. 51-60

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抄録
私たちはこれまでに, 麻黄湯が高転移性マウス骨肉腫細胞の運動能を抑制すること, 及び自然転移モデルマウスの肝転移を抑制することを報告した。 さらに麻黄湯が, ヒト血清により誘導されるヒト乳癌細胞株 MDA-MB-231 細胞の運動能を抑制することを報告した。 本研究では, 麻黄湯を内服したヒト血清の MDA-MB-231 細胞の運動能に対する効果を解析した。 健常男性ボランティア10名に 1 日常用量の麻黄湯煎じ液を 3 日間内服してもらい, 4 日目の内服直後, 0.5, 1, 2 および 4 時間後に採取した血清を用いた。 比較方剤として四君子湯を用いた。 その結果, 麻黄湯内服後血清は内服前血清と比較して, MDA-MB-231 細胞の運動能を有意に抑制し, その抑制率はいずれの採血時間においても約30%であった。 また, 麻黄湯内服後血清は MDA-MB-231 細胞の viability に影響を与えなかった。 一方, 四君子湯内服後血清は運動能抑制効果を認めなかった。 これらの結果から, 麻黄湯内服後ヒト血清がヒトがん細胞の運動能を抑制することが明らかとなり, 麻黄湯の内服によりヒトがん細胞の転移を抑制できる可能性があることが示唆された。
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© 2009 Medical and Pharmaceutical Society for WAKAN-YAKU
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