Journal of Traditional Medicines
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Case Report
A case of long-term remission of refractory atopic dermatitis by the addition of attentive listening, dietary education and oral Kampo preparations to standard therapy
Hiromi KobayashiDaisuke TsurutaHisashi TamiyaShigeto YanagiharaTakeshi NakanishiNobuyuki MizunoMasamitsu Ishii
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2011 年 28 巻 2 号 p. 83-91

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抄録

32歳,男性。難治性のアトピー性皮膚炎のため,漢方療法を希望し受診した。20年前より,ステロイド外用と抗ヒスタミン剤内服による標準的な治療をうけていたが,ほぼ全身に瘙痒,鱗屑,苔癬化を伴うびまん性紅斑が認められた。心身医学的な配慮をもって訴えをよく聴取したところ,難治性の皮疹に加えて,不眠と心身の疲労感の訴えがあった。補中益気湯と黄連解毒湯を標準的治療に加え,これらの方剤が症状緩和に有用であることを確認した後,五苓散,消風散と温清飲をそれぞれの症状改善目的で,長期の経過からみた患者の状態に応じて処方した。さらに,主として伝統的日本食からなるバランスのとれた食生活に変更することと, 食事日記をつけることを推奨した。5 か月後には,皮疹はほとんど消失し,その後10年間は,新たな治療を要しなかった。10年後,軽度の皮疹の再燃が認められたが,補中益気湯と五苓散を標準的治療とともに使用することで間もなく症状は改善された。その後の 3 年間において,ストレスにより時に再発がみられたが,ここ 1 年半は食事の注意のみで寛解している。食と漢方を用い治療したアトピー性皮膚炎の16年にわたる長期の経過を報告した。

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© 2011 Medical and Pharmaceutical Society for WAKAN-YAKU
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