The Journal of Toxicological Sciences
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MY-5116 の抗原性に関する研究
長谷川 隆司辻田 和男高橋 和雄
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1986 年 11 巻 4 号 p. 313-329

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抄録

新規抗アレルギー薬MY-5116およびその主要活性代謝物MY-1250の抗原性の有無について, ウサギ, モルモットおよびマウスを用いて検討した。本試験においてはMY-5116, MY-1250およびMY-5116と蛋白との非可逆的結合物を免疫原あるいは誘発原として用いることにより, 薬物を生体内に投与したときに薬物が免疫原性および誘発原性を示すかどうかを検討し以下の結果を得た。1. MY-5116を免疫補助剤であるFCAとともにウサギおよびモルモットを頻回免疫しても, PCA反応およびPHA反応によりMY-1250に対する特異的なIgGクラスの抗体は検出されなかった。同様に, 本検体をAlumとともに免疫した C3H/He, BALB/c 近交系マウスにおいてもMY-5116に対するIgE抗体はみられなかった。さらに, MY-5116により免疫されたモルモットに対してMY-1250およびMY-5116-BSA結合物を惹起抗原として能動性全身アナフィラキシー反応, Schultz-Dale反応および皮膚反応を誘発したが, いずれの反応も陰性であった。以上の結果よリMY-5116が生体内に投与されてもMY-5116が免疫原性を獲得することはないものと推察される。2. MY-5116-OVA結合物をFCAとともにウサギ, モルモットを, またAlumとともに C3H/He, BALB/c 近交系マウスをそれぞれ免疫した。その結果, モルモット血清およびマウス血漿に対して惹起抗原としてMY-5116-BSA結合物を用いるとPCA反応は陽性を示したものの, MY-1250単独を用いた際には同反応は陰性であった。また, 感作されたモルモットにMY-1250単独を皮内注射しても遅延型皮膚反応は認められなかった。これらの結果から, MY-5116が誘発原性を発現することはないと推察される。3. Maximization test 法に準じて, MY-5116を皮内注射と貼布による免疫を行った後, MY-5116とMY-1250を貼布して遅延型接触皮膚アレルギー反応を誘発したが, 同反応は全例陰性であった。以上結果から, 本試験条件下ではMY-5116あるいはMY-1250には免疫原性および誘発原性のいずれも認められないことから, MY-5116には抗原性はきわめて少いと推察される。

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