抄録
ガドベン酸ジメグルミン製剤(E7155)の局所刺激性を検討する目的で,E7155をKbl:JWウサギの右大腿外側広筋に,生理食塩液を左大腿外側広筋に単回投与した。投与2日後および14日後に,各3匹のウサギから外側広筋を摘出した。筋肉は肉眼的観察および病理組織学的検査を実施した。なお,対照物質として0.425w/v%酢酸溶液と1.7w/v%酢酸溶液を用いた。 E7155を投与した筋肉の肉眼的観察では,投与2日後には白色または褐色化を伴う出血部がみられ,投与14日後には1例で5×2mmの白色化が認められた。病理組織学的検査では,投与2日後に軽度ないし中等度の出血,浮腫,細胞浸潤,筋線維の変性および壊死が観察され,投与14日後には極めて軽度ないし軽度の細胞浸潤,筋線維の変性,線維化,筋繊維の石灰化および異物巨細胞が観察された。 E7155により生じた投与部位における諸変化は,1.7w/v%酢酸溶液で生じた変化に比べ投与2および14日後とも明らかに弱いものであり,0.425w/v%酢酸溶液で生じた変化に比べ,投与2日後では幾分軽度であり,投与14日後では明らかに弱いものであった。しかし,生理食塩液による変化に比べては強いものであった。 以上の結果から,E7155は薬安第2号(案)(厚生省,1979および1984)により分類すると,グレード2に属する局所刺激性を有しているものと考えられた。