抄録
1)医生ケ丘をふくむ北九州市西部は, 全域が照葉樹林域にある. 残存林分の調査によって, 沿岸地帯-内陸の原植生が推定され, 医生ケ丘一帯はスダシイ-ミミズバイ群集域であることが明らかとなった. 2)現存植生の二次林は, シイ-カシ萌芽林とカラスザンショウ群落が優勢である. 医生ケ丘の二次林では, コナラが優占し, ハゼノキ・ノグルミが常に出現する. 向陽地では林床にウラジロまたはコシダが優占している. 3)湿地にはガマ・ヒメガマ・イグサが優占する. 4)医生ケ丘で種子植物131種, シダ植物8種を記録した. 5)大学構内の緑化について, 植生学の立場から付言し, 特に残存林および西北部の湿原群落の保存の重要性を指摘した.