Journal of UOEH
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最新号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • キブワゲ ジャコブ, オソー カルビンス, ンドゥング チャールス
    原稿種別: [原著]
    2019 年 41 巻 3 号 p. 259-269
    発行日: 2019/09/01
    公開日: 2019/09/20
    ジャーナル フリー
    重要な生計手段としてのたばこの生産と利用は健康だけでなく,環境にも影響を与えるという証拠が増えている.ケニアでは,たばこ産業が拡大しており,新たな生産地域が出現している.しかしながら,生産,加工,そして処理技術の環境への負荷の性質は,ケニアの多くの地域で未だ評価されていない.本研究では,遵守レベルの評価と政策立案を目的として,ケニアの南ニャンザ地域におけるたばこ農業活動の環境監査を実施した.データ収集は,詳細な環境監査チェックリスト,フォーカスグループ討議,インタビューおよび現地観察を通して行った.国家環境管理局,世界保健機関(WHO)の基準,および世界の適正農業生産実践規範に対する環境コンプライアンスレベルは,13.6%と概して悲観的だった.殺虫剤や農薬の使用,エネルギー資源の使用と管理,たばこの葉の保管と未回収の葉の廃棄,労働安全衛生,そして企業の社会的責任における確立された最善慣行に対するたばこ会社のコンプライアンス評価は,それぞれ19.8,15.7,27.7,2.1,11.8%であった.低い遵守レベルは,持続不可能な農業を意味し,それゆえこの地区で環境に良い活動の実施強化が求められる.経済的に実行可能で環境的に持続可能な代替作物の開発と政策立案と法制化が推奨される.
  • 橋口 克頼, 永田 智久, 森 晃爾, 永田 昌子, 藤野 善久, 伊藤 正人
    原稿種別: [原著]
    2019 年 41 巻 3 号 p. 271-282
    発行日: 2019/09/01
    公開日: 2019/09/20
    ジャーナル フリー
    WHOは「各国・地域において,人々が経済的困難を伴わず保健医療サービスを享受すること」を目標としており,その指標としてEffective Coverage(EC)という概念を提唱している.ECとは“その国または地域における健康システムを通して,実際に人々に健康増進をもたらすことができる割合”と定義されており,産業保健の場面では治療が必要,もしくは治療を受けているうち,適切に疾病管理されている率に該当すると考えられる.本研究では産業保健サービスの効果を評価することを目的とし,「常勤の産業保健スタッフ(産業医または産業看護職)による労働者への産業保健サービスの提供は,高血圧,糖尿病,脂質異常症の各項目について,ECを向上させる」という仮説をたてて検証した.2011年度の一般健康診断,人事情報,及びレセプトからの個々のデータを分析した横断的研究である.特定の大規模企業グループの91,351人の男性労働者を対象とした.常勤の産業保健スタッフがいる事業場に所属する労働者(OH群)とそれ以外の事業場に所属する労働者(non-OH群)において高血圧,糖尿病,脂質異常症の各項目別にECを算出し,比較した.OH群はnon-OH群に比べて,高血圧・糖尿病において有意にECが高率であったが,脂質異常症については有意な差を認めなかった(高血圧aOR 1.41: 95%CI 1.20-1.66,糖尿病aOR 1.53: 95%CI 1.17-2.00,脂質異常症aOR 1.11: 95%CI 0.92-1.34).常勤の産業保健スタッフによる産業保健サービスの提供は,健康診断後の適切な管理に大きく影響する.
  • 大森 政美, 長神 康雄, 橋木 里実, 川西 美輝, 神代 美里, 力久 真梨子, 加藤 達治
    原稿種別: [原著]
    2019 年 41 巻 3 号 p. 283-294
    発行日: 2019/09/01
    公開日: 2019/09/20
    ジャーナル フリー
    高齢者はしばしば嚥下障害から誤嚥性肺炎を発症するため嚥下機能評価は重要である.もっとも信頼性の高い嚥下機能検査は嚥下造影検査や嚥下内視鏡検査であるが,これらの検査は高齢者には施行できないことも多い.そのため我々は医療従事者なら誰でもできる高齢者肺炎患者に対する摂食嚥下機能評価法のAssessment of Swallowing Ability for Pneumonia(ASAP)を開発し,その有用性を検討した.この研究は2016年1月から2016年6月に戸畑共立病院内科に入院した肺炎患者130名(男58名・女72名,平均年齢82.2 ± 13.0歳)を対象にした.ASAPとthe Mann Assessment of Swallowing Abilityの相関係数は0.97と強い相関を認めた.ASAPと重症度ごとのthe area under the curvesはそれぞれ0.98,0.95,0.94であった.ASAPは高齢者肺炎患者の嚥下機能評価法として有用である.
  • 荒木 俊介, 冨岡 慎一, 大谷 誠, 菅 秀太郎, 市川 俊, 松田 晋哉, 伏見 清秀, 楠原 浩一, 白幡 聡
    原稿種別: [原著]
    2019 年 41 巻 3 号 p. 295-302
    発行日: 2019/09/01
    公開日: 2019/09/20
    ジャーナル フリー
    日本における新生児播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation: DIC)の発生率は不明であり,今回われわれは診断群分類(diagnosis procedure combination: DPC)データを用いてわが国における新生児DICについての疫学研究を行った.診断群分類研究機構にデータが提出されている1,474施設に2014年4月1日から2016年3月31日の間に入院し,入院時年齢が0歳かつ新生児特定集中治療室管理料を算定している児を対象とした.「主傷病名」,「入院の契機となった傷病名」,「最も医療資源を消費した傷病名」,「2番目に医療資源を消費した傷病名」,「入院時併存症」,「入院後発症病名」のいずれかにinternational classification of disease(ICD)-10上で播種性血管内凝固(D65),新生児播種性血管内凝固(P60)が登録されている症例を抽出した.78,073例が対象となり,新生児DICの発生数は1,864例,発生率は2.4%であった.男女差は認めなかった.出生体重別では1,000 g未満では9.8%と有意に高く,在胎期間別の検討で28週未満では10.2%がDICを発症していた.DICを発生した症例の平均在院日数は69.5日とDICを発症しなかった症例の32.6日と比較して有意に延長していた.全死亡数は1,156例(1.5%),DIC発症群では262例/1,864例(14.1%)で,DIC非発症群の894例/76,209例(1.2%)に比較して有意に院内死亡率が高かった.本研究はDPCデータを用いたわが国における初めての新生児DICについての大規模疫学研究報告である.新生児DICの発症は予後と強く関連し,より未熟な児ほど大きな影響を受ける.
  • 黄 啓徳, 百崎 良, 宮崎 慎二郎, 若林 秀隆, 社本 博
    原稿種別: [総説]
    2019 年 41 巻 3 号 p. 303-315
    発行日: 2019/09/01
    公開日: 2019/09/20
    ジャーナル フリー
    急性疾患に対するリハビリテーションと栄養療法の併用効果検証を目的としたシステマティックレビューを行った.MEDLINE,CENTRAL,EMBASEと医中誌データベース検索の986件と他ソース16件の論文からリハビリテーション治療中の急性疾患症例に対する栄養介入効果を検証した2件のランダム化比較試験を抽出した.コクランrisk of bias評価とランダム効果モデルを用いた解析,GRADEアプローチでエビデンスの質評価を行った.Jonesらの研究ではQOL改善効果がなかった(標準化平均差[SMD] 0.55, 95%信頼区間[CI] -0.05 - 1.15; P = 0.12)が,Hegerovaらの研究では筋肉量(SMD 0.65; 95%CI, 0.36 - 0.93; P < 0.00001)とADL(SMD 0.28, 95%CI 0.00 - 0.56; P = 0.05)に改善効果を認めた.急性疾患に対するリハビリテーション栄養療法は筋肉量増加とADL改善に効果的な可能性がある.しかしアウトカム全般にわたる全体的エビデンスの質は低く,さらに研究が必要である.
  • 遠藤 元誉
    原稿種別: [総説]
    2019 年 41 巻 3 号 p. 317-325
    発行日: 2019/09/01
    公開日: 2019/09/20
    ジャーナル フリー
    アンジオポエチン(angiopoietin)は血管新生,造血系幹細胞の恒常性維持に重要な役割を担っている.アンジオポエチン様因子(angiopoietin-like proteins : ANGPTLs)は,アンジオポエチンに構造上類似するタンパクとして同定され,現在までに8種類報告されている.ANGPTLsは分泌タンパクであり,血管新生以外に糖代謝,脂質代謝,レドックス制御,慢性炎症などにも関与する.近年,慢性炎症が発がん,がん浸潤・転移の重要な因子の一つであることが報告され注目されている.ANGPTL2,3,4,6,7は炎症を促進させ,がん進展に関与する.一方,ANGPTL1は腫瘍血管新生を抑制することで,がん進展を抑制する.本総説では,がん進展におけるANGPTLsの機能を概説し,ANGPTLsを標的としたがん浸潤・転移抑制法開発の可能性についても紹介したい.
  • 松浦 祐介, 吉岡 真, 中田 光紀, 原賀 美紀, 蜂須賀 徹, 森 晃爾
    原稿種別: [報告]
    2019 年 41 巻 3 号 p. 327-333
    発行日: 2019/09/01
    公開日: 2019/09/20
    ジャーナル フリー
    日本の子宮頸がん検診受診率は他の先進諸国と比較して格段に低い.本研究では企業の定期健康診断における子宮頸がん検診の現状と動向を明らかにし,その役割と課題について検証する.産業医学推進研究会の協力のもと,子宮頸がん検診についてのアンケート調査を行った.127社から回答が得られ,子宮頸がん検診を実施している企業(事業所)は100社(79%)であり,うち50社からさらに詳細な回答が得られた.子宮頸がん検診を必須項目としている企業は6社のみで他は希望者を対象としていた.49社のうち対象年齢を30歳以上としている企業が9社にみられ,20歳以上としている企業は18社(37%)のみであった.子宮頸がん検診受診者数が把握できた44施設の女性従業員数は86,695名で,総従業員数の20%であった.検診受診者数は31,294人で受診率は36%であり,検診の結果が確認できた26社における細胞診陽性率は3.0%であった.過去の調査と比較して子宮頸がん検診受診率はやや増加していたが,依然低値であった(2004年17%,2008年23%).コルポスコピーと子宮頸部生検による精検受診率は70%であった.26社中12社は詳細な結果を把握できていなかった.勤労女性が増加するなか,産業医や産業保健スタッフは女性従業員に対し子宮頸癌の現状を中心に教育し,子宮頸がん検診を含めた健康管理を行う必要がある.
  • 梅村 武部, 中野 良昭, 副島 慶輝, 齋藤 健, 北川 雄大, 宮岡 亮, 鈴木 恒平, 山本 淳考
    原稿種別: [症例報告]
    2019 年 41 巻 3 号 p. 335-342
    発行日: 2019/09/01
    公開日: 2019/09/20
    ジャーナル フリー
    頭蓋骨悪性リンパ腫は稀な腫瘍であり,初期診断に苦慮することがある.我々は,2症例の頭蓋骨悪性リンパ腫を経験したため報告する.最初の症例は72歳の女性であり,頭部外傷後に頭頂部の大きな腫瘍を指摘された.次の症例は63歳の男性であり,視力障害と後頭部痛に伴う後頭部皮下腫瘍を指摘された.2症例目では,悪性腫瘍の診断は症状と骨破壊の状態から容易であった.しかしながら,最初の症例においては,症状を認めず,頭部CTにおける骨破壊もわずかであったため診断が困難であった.病理診断では,両方の症例は頭蓋骨に発症したびまん性B細胞性リンパ腫であった.我々は,23症例の異なる頭蓋骨腫瘍について初期症状,骨破壊像を調査した.これらの症例との比較により,頭蓋骨リンパ腫の特徴は頭蓋骨に大きな腫瘍を認めること,不完全な骨破壊像を伴っていることと考えられた.この特徴は腫瘍による頭蓋骨の破壊が皮下腫瘍と比べゆっくりであるためと考えられた.この特徴は,良性,悪性の頭蓋骨腫瘍と比較しても特異的であり,頭蓋骨リンパ腫は骨条件CTにて確定診断し得ると考えられた.
  • 永田 泰史, 竹内 正明, 大谷 恭子, 園田 信成, 尾辻 豊
    原稿種別: [症例報告]
    2019 年 41 巻 3 号 p. 343-349
    発行日: 2019/09/01
    公開日: 2019/09/20
    ジャーナル フリー
    左室流出路狭窄は時に大動脈弁狭窄症に合併する.しばしば両者の狭窄を分離することができないため,大動脈弁狭窄症の真の重症度を正確に評価することが困難になる.症例は外傷性血気胸で入院となった75歳女性.心エコー図検査により大動脈弁狭窄症と左室流出路狭窄を認めた.ドプラーエコーでは収縮後期をピークとするダガー型の血流波形を認め,左室流出路と大動脈弁を通過する最高血流速度は6.0 m/sであったが,両者の最高血流を分離することが困難であった.正確な大動脈弁狭窄症の重症度評価のため,ランジオロール(短時間作用型βブロッカー)とシベンゾリン(ナトリウムチャネルブロッカー)を用いた負荷心エコーを行い,同時にカテーテル検査により左室圧と大動脈圧を測定した.ランジオロールは無効であったが,シベンゾリンにより左室流出路狭窄は消失した.シベンゾリン負荷心エコー検査により大動脈弁狭窄症の重症度は中等度以下と評価され,適切な治療方針の決定が可能となった.本症例によって,シベンゾリン負荷心エコーは左室流出路狭窄を合併した大動脈弁狭窄症の重症度評価に有用である可能性が示された.
  • 原稿種別: [予報]
    2019 年 41 巻 3 号 p. 351-352
    発行日: 2019/09/01
    公開日: 2019/09/20
    ジャーナル フリー
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