Journal of UOEH
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環境中における亜硝酸イオンの存在とその意義ならびに反応性
野田 浩司峯本 正夫野田 敦子
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1981 年 3 巻 4 号 p. 425-439

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抄録

ヒトの体液中に存在する亜硝酸イオンは, 主として2つの経路により取り込まれたものである : 1)自然界に広く分布する硝酸イオンが野菜などの食品を介して体内に摂取され, 消化管内微生物によって還元されたもの 2)肉製品, チーズ等の防腐剤, 醗酵調整剤および発色剤として添加されている亜硝酸塩. 亜硝酸イオンは, それ自身有害であるが, その他, 消化管内条件下で食品中に含まれるアミン類と反応して肝毒性および発癌性を有するnitrosamineを生成することで著名である. 本論文では, 自然界, 食品および体内における亜硝酸塩の消長とその毒性について簡単にふれ, ついで, 亜硝酸イオンが各種アミン(脂肪族および芳香族の1級・2級ならびに3級アミン, あるいはヒドラジノ誘導体)と反応して生理活性を有するnitrosamine, triazeneおよびazide中間体を経る閉環体, あるいは脱アミノ化合物を生成する能力を生物有機化学的見地よりまとめ, 亜硝酸イオンの多彩な反応性を示した.

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© 1981 産業医科大学
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