Journal of UOEH
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[総説]
細胞性ストレスとeIF-2αキナーゼ
森本 景之馬場 良子
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2012 年 34 巻 4 号 p. 331-338

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抄録

真核生物タンパク質合成開始因子eukaryotic initiation factor(eIF)-2αは,真核生物におけるタンパク質合成開始に関連する因子であり,ウイルス感染,栄養欠乏,虚血,熱ショックなどの様々なストレス刺激によりリン酸化修飾を受ける.eIF-2αのリン酸化に関わるeIF-2αキナーゼとして,現在までにPKR,HRI,GCN2,PERKが報告されている.これらのeIF-2αキナーゼによって様々な細胞性ストレスが検知され,eIF-2αへと伝達されることから,eIF-2αを中心とした「総合性(integrated)ストレス応答経路」が提唱されている.生体の防御機構としての「総合性ストレス応答機構」を構成するeIF-2αを理解することで,細胞レベルで検知されるストレス刺激とそれに対する応答が明らかとなり,ストレスに起因する疾患の予防や治療法の開発にも役立つと考える.

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© 2012 産業医科大学
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