Journal of UOEH
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脳卒中による障害部位と脳卒中後尿閉の検討
梅村 武部太田 浩嗣横田 晃鎗水 史朗西澤 茂
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2016 年 38 巻 4 号 p. 263-269

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抄録

脳卒中後の患者は尿閉を伴うことがしばしば認められる.さまざまな神経病理学的研究や動物実験より,延髄,橋,大脳辺縁系,前頭葉が排尿コントロールを行うと言われているが,正確な領域は特定されていない.今回脳卒中を発症し尿閉を生じた症例について脳の障害部位を検討し,どの領域が尿閉に関係するかを調査した.2012年10月~2013年9月の間,当科へ脳卒中で入院した症例(脳梗塞 110例,脳出血 27例,男性 78人,女性 59人 平均年齢 73歳) を対象とし,脳の障害部位を頭部MRI,CT検査にて検討し,尿閉の有無を調査した.脳卒中後に尿閉を発症した症例は137例中12例(8.8%)(脳梗塞 7,脳出血 5,平均年齢 78.8歳)であり,12例中7例が優位半球の障害であった.1例が非優位半球であり,小脳が3例,脳幹は1例の結果であった.優位半球に脳卒中を発症した症例は,有意に尿閉と関連があり(P = 0.0314),特に島の障害は有意に尿閉を発症した結果であった(P < 0.01).優位半球の島を含めた領域の脳卒中の場合,脳卒中後尿閉を起こしやすいと考えられた.

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© 2016 産業医科大学
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