作業環境測定のための固体捕集法の新たな脱着法を開発するため,アニオンおよびノニオン界面活性剤を用いた脱着溶液を使用し,ヤシ殻活性炭からの有機溶剤蒸気の脱着率を調べた.イソプロピルアルコールまたはメチルエチルケトンを蒸留水で100倍希釈した水溶液 10 μl を,10 ml バイアル瓶に入った100 mgのヤシ殻活性炭に添加した.そのバイアル瓶を約24時間静置し,脱着溶液を 5 ml 添加した後,60°Cの恒温槽に24時間静置し,バイアル瓶の気相を水素炎イオン化検出器(FID)を備えたガスクロマトグラフで分析し,脱着率を求めた.脱着溶液には,2種類のアニオン界面活性剤を用いて作製した水溶液に,4種類のノニオン界面活性剤をそれぞれまたはすべて添加したものを用いたが,添加したノニオン界面活性剤による脱着率の向上は認められなかった.一方,吸着材として使用したヤシ殻活性炭管は,製造ロットにより脱着率が異なることが示された.