2020 年 42 巻 3 号 p. 291-295
症例は77歳男性.2年前に正常流量高圧較差重症大動脈弁狭窄症と診断されたが,ご本人の希望で手術は行わない方針となった.食思不振と体重減少を契機に来院し,胃癌と診断された.その際に再度心エコー図検査を行ったところ,奇異性低流量低圧較差重症大動脈弁狭窄症(PLFLPG AS)へと変化していた.PLFLPG ASにおける一回拍出量低下は左室が小さいことに起因するが,その理由は未解明のままである.今回,全身の酸素消費量低下によりPLFLPG ASへと変化したと考えられる,病態解明の鍵となる症例を経験したので報告する.