住宅建築研究所報
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江戸東京生活空間の研究
小木 新造石田 頼房井上 勲井上 赫郎内田 雄造大串 夏身岡本 哲志奥田 道大加藤 貴川本 三郎佐藤 健二陣内 秀信竹内 誠玉井 哲雄鳥越 けい子西 和夫長谷川 徳之輔波多野 純初田 亨藤森 照信スミス ヘンリー松平 誠松平 康夫宮田 登村松 貞次郎
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1988 年 14 巻 p. 247-265

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抄録

 今日,日本やヨーロッパ,北アメリカの諸国はもちろんのこと,いわゆる発展途上国においても都市化の進展は著しく,21世紀は世界的に「都市の時代」になると予想されている。ところで発展途上国の都市化が進む中で,ヨーロッパとは異なる都市の形成・形態・都市生活が関心を呼びつつあり,日本の大都市,特に江戸・東京はその意味で注目されつつある。一方,国内的にみれば,東京一極構造が進み,国際的には,東京はニユーヨーク・ロンドンと並ぶ「国際金融・情報センター」の地位を確立しつつある。このような状況を反映し,江戸・東京の研究は今日ブームとなっているが,本研究は江戸・東京の都市生活を生活空間・都市空間の側面から解明することを目的としている。この研究実施に当っては,①建築学,都市計画学,歴史学民俗学,経済学といったさまざまな分野からの総合的なアプローチをとること,②江戸・東京を一貫した視座で捉えること,を心がけた。具体的には,各分野で江戸・東京の生活に関心を持つ30名近い研究者から成る「江戸・東京フォーラム」を設置し,毎回の報告者を定め,10数回の研究会を行なってきた。この一連の研究会を通じ,江戸・東京の都市生活に対する各メンバーの個性的な切り口,学際的かつ自由闊達な討論の中から,共通の問題意識が形成されてきたと言えよう。研究会では,①江戸,東京の連続性と非連続性,②江戸・東京と他の都市との比較,あるいはグローバルな視点からの位置づけ,③都市生活の舞台装置としての建築や町の空間の実態,等々が議論された。このような「江戸・東京フオーラム」での展開を踏まえ,本報告では研究会における報告要旨を,①都市比較からみた江戸・東京,②近代化する東京の都市基盤,③近代東京の街と建築,④新しい視座からの江戸,⑤江戸の建築技術,の5つの分野に分類し,収録した。

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© 1988 一般財団法人 住総研
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