日欧の新旧街並を取り上げ,それぞれの歴史的変遷を考慮に入れて,現状の色彩調査を行なった。調査対象は,今井町の御堂筋,川越市の一番街,日本橋の中央通り,渋谷の公園通り,ヘント(ベルギー)のグラスレイ,ザルツブルク(オーストリア)のアルターマルクト,ウィーン(オーストリア)のマリアヒルフ通りである。 調査の結果,日本でも欧州でも,保存体制が確定された歴史的街並は色彩によるまとまりがあった。総じて,日本の街並の方が色相が多岐にわたっていること,無彩色の割合が多いこと,明度,彩度のばらつきが大きいこと,などの特徴がある。日本の街並の今後の保存や開発には,それと類似の歴史をもつ欧州の街並色彩のあり方が参考になると考えられる。