抄録
故西山夘三氏が遺した膨大な資料の整理が「西山夘三記念すまい・まちづくり文庫」のメンバーの手によって1997年秋に完了した。本研究の目的はこの西山文庫で整理された諸資料を活用することにより,西山とかかわりの深い戦中・戦後期の住宅・都市計画上の諸課題について整理・分析を行なうことである。取り上げたテーマは,(1)昭和10年代・20年代の住宅調査,(2)住宅営団と西山夘三の持家主義批判,(3)関西における住宅営団住宅地の変貌,(4)戦後初めての『住宅白書』と住宅運動,(5)農村住宅研究会と西山夘三・西山研究室,(6)昭和20年代における住宅不良度判定と西山夘三,の6つで,各の専門分野の萌芽期に位置付けられる文献・資料の解題を行なった。