抄録
本研究は,コミュニティケアに向けて住民がどのような態度や意識を育みつつ,ノンフォーマルなケア活動に関わっているかを具体的なフィールド調査(診療所活動,まちづくり活動,地域通貨)に基づいて考察したものである。結果として,1.ノンフォーマルケアには「認知」を「交流」へと変容させてゆく機会財としての役割があること,2.地域社会を基盤におくノンフォーマルケアの対象圏域はおおよそ中学校区を上限としていること,3.複数のテーマに基づく多世代型のノンフォーマルケアを確立するうえで地域通貨のシステムが有効であること,4.都市部と農漁村部ではコミュニティケアにおけるフォーマルケアの位置づけが異なること,などが明らかとなった。