抄録
本研究は,固有の地域文化を活用して地域再活性化を図るには,どのようなアプローチが有効であるかを考察することを目的としている。筆者らは,典型的な密集市街地である墨田区京島および横浜市鶴見区において,地域文化の使い方に関わる「まちの家」および「鶴見スタジオ」プロジェクトを実践してきた。それらを調査対象とし,そのプロセスや成果を「文化政策」「空間化」の観点から分析することを研究の方法としている。地域資源として見出された「長屋」「レストラン」「公共空間」「社会関係資本」といった要素を文化政策として扱っていくには,「空間の読解可能性」が重要な要件であることがわかった。