2006 年 32 巻 p. 69-80
本研究は,タイとラオスにまたがって居住するチベット・ビルマ語派の民族集団,アカを対象に,かれらを取りまく社会環境の違いが居住文化におよぼしている影響の諸側面を指摘し,そのうえで,文化変容の地域的メカニズムについて考察することを目的とする,比較研究である。結語として,家屋の内部空間を男性側と女性側とに二分してしまうことは,形式的にはアカ全般に共通するが,空間の意味内容が支族ごとに異なっていること,さらに,国家や地域社会とのかかわり方如何によって,文化の動態勢性が異なることを指摘している。