抄録
南イタリアは,ナポリにおける中庭型住宅の持続性に関して,集団性の強い社会構造の視点から論じる。ナポリは,ギリシア時代の都市構成を継承しながら,集合的な性格をもつ中庭型住宅を発展させてきた。また,古代の都市機能の中心であったアゴラは継承されてこなかった。市民のコミュニティ生活は,住宅や修道院の中庭、路地などの空き空間で展開され,モザイクのように拡がっている。このような都市社会の特徴は,中心性を書いた都市構成と密接に関係しているのではないか考え,都市機能,居住スタイル,社会的特徴などから性格の異なるゾーンを選出し,それぞれの中庭住宅の形態的特徴と照らし合わせて検証する。