抄録
本研究は,ラテンアメリカにおける貧困層を取り巻く住環境に焦点を当て,基本生活インフラの設置・整備や脆弱なコミュニティーの改善といった取り組みを,主要3力国の例で概観するものである。貧困層の居住者を開発プロセスに何らかのかたちで参加させるという社会開発理論の枠組みでは有効とされる方法を積極的に取り入れているブラジルのリオ,それと対照的に政府の統制下のもと整備を行っているブラジリア連邦区,国家主導で融資を提供しその過程に民間部門(銀行,建設会社)を取り入れ,国家主導の参加型プログラムが行われているペルー,速邦区の機関とNGOによる融資で住宅の建替えを進めているメキシコ市の事例を取り上げた。