2008 年 34 巻 p. 303-314
新潟県中越地震の復興では,中山間地域や都市近郊の造成住宅地での「地盤災害」による被害が特徴的であった。その復興に際して集団移転をした集落では,宅地のみならず生業に関係する農地の復旧が持続可能な地域づくりには重要である。また,移転事例は,被災程度や移転先立地条件,自治体の復興方針などにより分類でき,居住者の希望や生活再建に特徴があることがわかった。一方,都市近郊の造成団地では,公道の復旧工事にからめて宅地を復旧したため,多数が住み続けることとなったが,住まいの安全性に不安を持ちつつも二重ローン等経済的な理由から団地内に留まっている世帯も多く課題も残っている。