2011 年 37 巻 p. 333-344
本研究は主に1981年以前に建設された木造住宅を対象に,過去の地震被害調査結果に基づきその破壊モードの類型化を行うと同時に,存在戸数の調査を行った。その結果1960 年代頃以降の木造住宅は,建設年が新しくなると比例的に被害程度が減少する傾向が認められる一方,1950年代以前は木造住宅の母数が急激に少なくなるが,地震被害と建設年の間に明確な相関が見出せないことを明らかにした.また,限られた数の調査結果からではあるが,都市部に多くみられる狭小間口・接道型の住宅形式は1層破壊という危険な破壊モードを示すと同時に被害率も高い。計画的な制約から困難を伴う場合も多いが,早急に補強方法の対策を講じる必要がある。