住総研研究論文集
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近代日本地方中核都市における「路面電車郊外」の成立
池上 重康木方 十根砂本 文彦鈴木 貴仁
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ジャーナル オープンアクセス

2012 年 38 巻 p. 53-64

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抄録
路面電車郊外とは,19世紀末に米国で展開した路面電車沿線に開発された郊外住宅地のことを指す。日本の地方都市における路面電車郊外像を探るべく,10の事例報告を通して類型化し,郊外住宅地の概念にどう位置づけられるか考察した。人口変動に伴う宅地化圧力と都市計画の実施状況を軸に以下の類型を見出した。人ロポテンシャルの高い都市では典型的な路面電車郊外が形成されたが,それ以外の都市では土地区画整理を計画したが連続的な宅地形成には至らず,都市計画事業を実現できず宅地化の萌芽に留まる例もあった。日本の路面電車郊外は自発性を含み,理念先行ではなく都市のポテンシャルに即して形成された郊外住宅地であると位置づけられる。
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© 2012 一般財団法人 住総研
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