2020 年 46 巻 p. 243-252
「備後表継承の鍵となる,希少な動力中継織機の動態保存に成功」 現在,備後藺草による備後表は絶滅の危機に瀕している。備後伝統の中継織りの織機と技術を継承し,備後表復興の端緒としたい。備後地域の農家に保管されていた,希少な動力中継織機を再生(修理・復元・改良)し,動態保存に成功した。この織機の活用により,備後表研究は飛躍的に進む。また再生織機の3DCGを制作し,その機構を分かりやすく表現した。藺草栽培や畳表製織の実践活動は備後地域遺産研究会が中心となり,備後表継承会が協働した。2018年4月に設立した備後表継承会は,地域や企業が継承事業に直接参入できる枠組みを目指したものである。将来的には,再生中継織機を備後表生産者が使用できる仕組みを作り,後継者育成に貢献したい。