抄録
本研究では,セクシュアリティを理由に入居を断られたり,蔑視されたりという経験を持つ当事者の存在が可視化され,同性入居の困難から,パートナーと隠れて暮らすケースが多く存在することが明らかになった。専用のサービスを開始する事業者も登場しているが,その手法は業態,地域性,商慣習により一様ではなかった。従来,経済的に困窮し居所を喪失した者への支援は,主に,社会福祉施設が担ってきたが,男女に区分けされた空間に馴染まない当事者も多い。そのため NPO団体が,多様なセクシュアリティに配慮したシェアハウスを開設する事例も確認された。