2009 年 40 巻 3 号 p. 41-44
骨盤骨折による骨盤部尿道の損傷に伴って排尿困難を示した犬の2症例について報告する。症例1(1歳齢・雄・雑種犬・体重3.1 kg)は、初診時に骨盤骨折および排尿困難を認め、逆行性尿路造影において尿道断裂が認められたため、尿道吻合術を実施した。術後16ヶ月において、持続的な尿失禁を認めるものの、排尿困難は呈していない。症例2(1歳齢・雄・ミニチュアダックスフンド・体重3.7 kg)は骨盤骨折整復術後、7日間で排尿困難となった。逆行性尿路造影にて尿道狭窄を認めた。狭窄部の切除および尿道吻合術を行ったものの、再び尿道狭窄を認めたため、包皮内尿道造瘻術を実施した。術後10ヶ月において、本症例は持続的な尿失禁を認めるものの、排尿困難は呈していない。