獣医麻酔外科学雑誌
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原著
  • 笹田 和樹, 東野 晃典, 近江谷 知子, 渡辺 海咲, 鈴木 友, 鈴木 馨
    2014 年 45 巻 2 号 p. 19-26
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/03/19
    ジャーナル フリー
    研究は、臨床現場での鳥類の全身麻酔に関する実践的な指針の設定を目的とした。初めに、実験研究ではイエバト(Columba livia domestica)を用いて、イソフルラン単独、アトロピン(0.05 mg/kg)の前投与を伴うイソフルラン吸入、及び注射麻酔薬のみ、つまりアトロピン(0.05 mg/kg)、ジアゼパム(2.0 mg/kg)、ケタミン(50 mg/kg)の併用の3通りの麻酔導入を行った。このとき全ての個体で気管内挿管及び各方法での最小麻酔濃度(MAC)の決定を行った。結果から、(1)気管挿管は適切な呼吸管理に有用である、(2)注射麻酔薬の前投与によりMACは低下する、(3)全ての方法で呼吸循環系の臨床的な異常はみられない、という事実が確認できた。鳥類の挿管による全身麻酔方法についての著者らの仮説は安全かつ有効であると判断し、続いて日本産野鳥への適用を試みた。その結果、ハトにおけるMACの1.0–2.0倍のイソフルランにより十分な麻酔効果が得られ、この指針は臨床現場において有用であると結論された。作成した指針は以下の通りである。(1)小型鳥類では、注射に伴うストレスを回避するため、前投与を行わない、(2)小型鳥類を除き、麻酔時間の延長に伴う呼吸循環系への影響を考慮し、アトロピンの投与を行う、(3)マスクによる吸入ができない大型もしくは気性の荒い種では、前投与としてアトロピン、ジアゼパム、ケタミンの皮下投与が有用である。
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