抄録
4頭のホルスタイン種乳牛に3種の薬液 (XL群: 2%キシラジン0.0025m1/kgと2%リドカイン4mlの混合液, X群: 2%キシラジン0.0025ml/kgと生理食塩液4mlの混合液, S群: 生理食塩液0.0025ml/kg+4ml) を1週間間隔で各牛に硬膜外投与した。硬膜外薬液投与は第13胸椎・第1腰椎間から硬膜外腔に刺入したTuohy針を介してカテーテルを20cm前方に向けて留置して行い, 硬膜外投与直後に牛を仰臥位保定とした。X群およびXL群では左右体側壁で最大第7胸神経から第3腰神経支配領域の鎮痛効果が得られ, また, 薬液投与後5~30分に第四胃変位整復手術部位である剣状軟骨と臍の中央20×20cm部分の体壁 (正中部) の鎮痛効果が発現した。しかし, X群の2例およびXL群の1例で正中部頭側部分の鎮痛効果が不十分であった。X群およびXL群では硬膜外薬液投与後20および30分に平均血圧が約20%程度下降したが, S群では血圧の変動はみられなかった。すべての群で硬膜外薬液投与10~60分でPaO2の低下がみられたが, 60分で仰臥位保定を解除したところ牛は即座に起立し, 起立10分後にPaO2はbaseline値に復した。