日本獣医がん学会雑誌
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短報
重症筋無力症を伴った胸腺腫に対し放射線単回照射とピリドスチグミン投与により 長期の症状改善が可能であった犬の1例
牛尾 宣夫福山 泰広圓尾 拓也川原井 晋平信田 卓男
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2014 年 5 巻 1 号 p. 12-17

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抄録

重症筋無力症と巨大食道症を伴った胸腺腫と診断された12歳、避妊メスのゴールデンレトリバーに対して4週間ピリドスチグミンの投与後、胸腺腫に対して12Gy の1回照射を行った。照射1ヵ月後、巨大食道症の消失、2ヵ月後、抗アセチルコリンレセプター抗体価の減少が認められ、更に胸部X線検査で腫瘤は消失した。ピリドスチグミン投与は照射後5ヵ月間継続した。照射1年半後、腫瘤は認められず重症筋無力症の症状も認められない。更に放射線障害は見られなかった。以上のことから重症筋無力症を伴った胸腺腫に対して放射線単回照射とコリンエステラーゼ阻害薬の併用療法の有効性が示唆された。

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© 2014 日本獣医がん学会
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