日本獣医がん学会雑誌
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短報
パクリタキセル/白金製剤併用非選択的動注化学療法により緩和効果が得られた鼻腔内悪性腫瘍の犬2例
日高 勇一小池 貢史三角 瞬吉川 理紗小西 祐子佐藤 裕之平井 卓哉三堂 祥吾堀井 洋一郎都築 直萩尾 光美
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2017 年 6 巻 1 号 p. 5-12

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抄録

鼻腔内の未分化癌 (症例1)、移行癌 (症例2) と診断された犬2例に対し、パクリタキセル/白金製剤併用の非選択的動注化学療法を行った。それぞれの投与量は全身化学療法の推奨量の25%から35.5%に減量し、総頚動脈から注入した。症例1は著しい腫瘍の減容積が得られたが、治療後の生存期間は53日であった。症例2においても約3カ月間部分寛解が得られたが、治療後の生存期間は126日であった。本療法による副作用は、症例1ではみられず、症例2においても軽度であった。本報告における非選択的動注化学療法は、手技が容易かつ簡便であり、投薬量の減量により安全に実施し得た。本療法は、その間隔、回数および薬剤の投与量に課題が残るものの、犬の鼻腔内悪性腫瘍に対し、緩和効果が得られる可能性が示唆された。

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