抄録
1976年以降に日本で鳥類の急性あるいは慢性症例から分離されたPasteurella multocida 23株における39kDa蛋白(細胞付着因子 : Cp39)遺伝子(細胞付着遺伝子 : cp39)のPCRによる検出を行い,シークエンスによりそのサイズを測定するとともに,RFLPによるPCR産物の制限酵素切断パターンより菌株間の変異を検討した。また,組換えCp39(rCp39)に対する鶏抗血清と分離株との反応性をイムノブロットで検討した。その結果,cp39は菌体抗原型3のすべての株で検出され,RFLPのパターンは制限酵素HindIIIあるいはEcoRIによる切断でそれぞれ3つの型に分けられた。 cp39に多様性が認められたが,このことと菌株の病原性との関連は認められなかった。一方,すべての株の37℃抽出全菌体抗原がrCp39鶏抗血清と反応した。以上より,cp39は日本で分離されたP. multocidaの症例由来株に広く分布すること,および株間で本遺伝子に変異がみられることが明らかとなった。また,rCp39は日本における家禽コレラワクチンの免疫有効成分になると考えられた。