抄録
食品由来疾病の被害実態を明らかにし,政策立案に反映させ,また限られた資金を有効に活用して,食品由来疾病に対する新たな戦略を構築するため,WHOは2006年9月に開かれた専門家会議(WHO Consultation to Develop a Strategy to Estimate the Global Burden of Foodborne Diseases)での提言を受けて,2007年11月26-28日,ジュネーブのWHO本部に標記食品由来疾病被害疫学調査グループ(The Foodborne Diseases Burden Epidemiology Reference Group : 以下FERG)を招集した。
Burden of Foodborne Diseases(食品由来疾病被害 : 以下FBD burden)とは
本誌資料の中で国立衛研の窪田も紹介しているように,FBD burdenは食品由来疾病による被害実態のことである。急性ならびに慢性疾患の患者数だけでなく,それら疾患に罹患することによって失われた健康な生活時間や死亡率も考慮した,総合的な被害実態を示す言葉である。経済的被害額を示す場合もあるが,FERGでは主として障害調整生存年数Disability-Adjusted Life Years (DALYs)を指標としている。