乳牛の産後起立不能症の応急的診断・治療をより根拠のあるものにするため, 60頭の産後起立不能乳牛のデータを数量化理論III類によって分析した.
その結果, 栄養, 皮温, 食欲, 第一胃運動, 尾力, 眼結膜および意識という, 最も通常的に観察される臨床所見から, 産後起立不能乳牛を, 総合的症状が相違する5つのグループに分類することができた。さらに, これら各グループの血清中カルシウム, リンおよびマグネシウム濃度を検討したところ, 一般に産後起立不能乳牛に無差別的に実施されているCa剤注射という診断的治療を減らしうることが判明した。