シュークリーム, クリームパフおよび, モンブランの3種洋生菓子の製造工程において, どのような要因が, どの程度衛生的品質 (大腸菌群検査成績) に影響しているかの解析を試みた。
現場で簡単にできるスタンプ法によって得られた大腸菌群検査成績を目的変量とし, これに対する説明変量として, 作業者 (熟練度・作業マナー・服装の清潔度) , 作業環境 (整頓の程度・温湿度・床の乾燥度) , 器具容器 (フキンの清潔度・容器消毒の有無・絞り機の洗浄度) , 作業工程 (シュークリームの殺菌程度・冷却の程度) の4群11項目のアイテムと88カテゴリー (シュークリーム: 29, クリームパフ: 31, モンブラン: 28) を選び, 数量化理論I類および, 同III類によって分析し, これら要因とカテゴリーの意義を推定し, 次の結果を得た。
1) 作業者では, 「熟練度」がシュークリーム, クリームパフおよび, モンブランの品質に対して, 2) 作業環境では, 「温湿度」と「床の乾燥度」がクリームパフとモンブランに対して, 3) 器具容器では, 「フキンの清潔度」がシュークリームとクリームパフに, また, 「絞し機の洗浄度」がクリームパフとモンブランに対して, 4) 作業工程では, 「殺菌程度」がシュークリームの品質に対して, それぞれ, 比較的強く関与しているように思われた。
特に, 「器具容器」と「作業者」がこれら、3種洋生菓子の衛生的品質に比較的強く関与しており, 現段階における洋生菓子の衛生的品質改善のポイントは, 「フキンおよび, 絞り機の取扱い基準」の確立と「作業者への教育訓練」であることが示唆された。
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